フロート(センサ)の原理

あっとマドラーの原理は水とアルコールの比重の差を利用して水割り、お湯割りの濃さが測れる様になってます。
水の比重は御存知の様に4℃に於いて1.000です。
一方エチルアルコールの比重は0.79358(15℃)です。
この二つの液を混合すると、それぞれの混合比に応じて比重が変わり、逆に比重からアルコール濃度(水割りの濃さ)が測れる訳です。
ただ水とアルコールの混合液は単なる物理的混合だけでなく、分子間結合も行なわれる為必ずしも直線的変化ではなく、左図の様にアルコール濃度に従って比重が変化します。
左の表で水だけの比重は1.000であり、アルコール濃度が1度(1%)増えると比重が約1.7/1.000減って行く事になります。
あっとマドラーの6色のフロートはそれぞれ1/1.000という正確な比重管理された左図下の様な比重で作られております。

あっとマドラーを水の中に入れると全部のフロートが浮いてしまいます。これはフロートが水の比重(1)より軽いからです。ストレートのウイスキーの中に入れるとフロートは全部沈んでしまうはずです。ストレートウイスキー(大体40度~50度)の比重が0.920位でフロートは全部これより重いからです。水割りの濃さは個人感覚で異なりますが、5度~25度程度です。適当につくった水割りの中に、あっとマドラーを入れるとその水割りの濃さに相当する比重により重いフロートは沈み、軽いフロートは浮きます。たまたま水割りの濃さとフロートの比重が同じ又は、非常に近い値を示すと中間に無重力状態で浮遊します。以上で、あっとマドラーの動作原理を説明しましたがこのあっとマドラーの開発には約三年を要し、前記比重の精密調整・検査・管理の難しさに加え、最も苦労したのはフロートの熱膨張係数の管理でした。水の膨張係数は、1℃当たり2/10000と非常に小さく、フロートの材料としてこの膨張係数に合わせるのに約1年を費やしました。通常のプラスチックは8~10/10000程度の熱膨張係数を示し、お湯割りと水割り濃度測定で大きな誤差が出てしまいます。その他、フロートの表面活性の問題(撥水性・親水性の問題)フロート成型時の気泡混入による誤差発生の問題等、こんな簡単な製品でも開発中に解決しなければならない問題は非常に多いものです。

フロート(センサ)の取扱注意点

前記した様に各フロートの比重差は約5/1000と、少ないのでフロートの浮き沈みが安定するまでには時間がかかります。
焦らず、ゆったりした気持ちで神秘的なフロートの動きを楽しんで下さい。
又、マドラーの動かし方に慣れると早く正確な表示が出来る様になります。

次にアルコール濃度と比重の関係は蒸留酒だと正確な相関が取れますが、醸造酒の場合はエキス分の溶け込みがあり、必ずしもアルコール濃度と比重が正しく比例しません。その為あっとマドラーで水割り・お湯割りの濃さの測れるお酒はウイスキー・ブランデー・焼酎・ウォッカ等の蒸留酒です。

日本酒・ワイン等醸造酒のアルコール濃度は正確には測れません。又、ビール・炭酸割りのお酒はフロートに小さい気泡がつくので誤差が出てしまいます。あっとマドラーでゆっくりした気分を楽しみながら適度のお酒をどうぞ!